みずみずしく、甘いアスパラガスで
より多くの人へ幸せを贈りたい。
グリーンアスパラガス生産者
中原 伯樹さん
(美幌町グリーンアスパラガス振興会 会長)
高い山にさえぎられることなく、どこまでも続く青空。その陽光にも負けない笑顔を見せる中原さんの手には、採ったばかりのアスパラガス。ふるさと納税の返礼品として大人気の美幌町アスパラガスには、一般指標よりも旨味成分が豊富に含まれていると言います。そこで、中原さんにおいしく栽培するこだわりや日々の様子を伺いました。
憧れの北海道へ移住
町にあたたかく迎えられ、感謝
中原さんは、東京都出身。子供の頃からなぜか北海道に憧れ、学生時代にはバイト代を貯めては原動機付き自転車で道内を周遊していたそうです。
「信州の大学で林業系を学んでいましたが、やっぱり北海道へ行きたいという想いが強くなったんです。そして、大好きな知床に近く、新規就農を受け入れていた美幌町を選びました」
2004年、みらい農業センター第四期研修生として移住。「町の皆さんがとても温かく迎えてくれて、うれしかったです」。大阪出身の奥さんも同じ年に農業実習生として来町。やがて夫婦二人での就農生活がスタートしたというわけです。
太く、大きくなりたいという
アスパラガスの力を伸ばす
いまでは美幌町グリーンアスパラガス振興会の会長を務める中原さんをはじめ町内の生産者が丹精込めて作るアスパラガスは、しっかりとした肉質と強い甘みが特徴です。
「このエリアは、比較的雨が少なくて日照量が多いんです。日照量が多いと緑色が濃くなり、昼夜の寒暖差が甘みを生み出します。アスパラガス自体、太くなりたい、大きくなりたいという力がとても強い作物なので、私はその底力を邪魔しないように育てています」
気象条件やおいしい地下水などに恵まれているものの、日々変わる湿度を調整したり、枝払いなどの管理をしたり、繊細で地道な作業の連続です。中原さんは、よりおいしくなるにはどうしたらいいのか、ずっと試行錯誤しているそうです。
本州には出回らない
“幻のアスパラ”
アスパラガスの収穫は、早朝。中原さんは春の収穫時には4時にハウスに入ります。「夜の間に水分が茎に送り込まれので、切りそろえたときにトロ〜ンとしずくがしたたるんです。思わず『うまそうだなぁ』って見つめてしまいます。毎日食べているのにね」と、笑います。
収穫した分は、その日のうちに選別して新鮮なまま出荷。アスパラガスの産地として知られる北海道でも、上質な美幌産は大人気です。ほとんどが地元で消費されるので、本州に出回るのはふるさと納税の返礼品や個別の直送などに限られる“幻のアスパラ”です。
シンプルな味付けが
風味を豊かに引き立てる
美幌町グリーンアスパラガス振興会に所属するメンバーは、土づくりや化学肥料の低減にこだわり、全員が北海道のエコファーマー認定を受けています。
「おいしいのはもちろん、安心して召し上がっていただきたいですね」
今日も、全国のどこかで自分たちが作ったアスパラガスが食べられていると想像するのが「何よりの幸せ」という中原さん夫婦。ゴーヤの代わりにアスパラを使う、奥さん考案の“アスパラチャンプルー”は中原さんの大好物です。醤油やマヨネーズも合いますが、中原さんのおすすめは塩での味付け。美幌産アスパラガスならではの風味がさらに豊かに引き立ちます。また、鮮度が落ちる前に“ピクルス”にすると、長く楽しめるのでおすすめとのことです。
大自然の恵みと生産者の想いが
たっぷり溶けこむ格別な味わい
どんなに忙しくても、家族との時間を大切にして朝食、夕食はみんなで食卓を囲む中原さん一家。ご夫婦ともに道外出身ながら、いまは美幌町のアスパラガス農家としてしっかり大地に根ざして日々を積み重ねています。
「地元の人は、案外ここの良さに気づいていないかもしれません。近くの丘から眺める畑の風景は、とてもきれい。星もびっくりするほど輝いています。冬にはダイヤモンドダストが舞い、オジロワシが飛び交います。この風景の一部に自分がいるんだと思うと、じわっと感激しますよ」
アスパラガスのおいしさには、美幌町ならではの大自然からの恵みと中原さんたち生産者の想いが、たっぷり溶けこんでいます。