悠久の森を思わせる美しい木目と重厚な色合い。手に持つと、ほどよい重さがここちよく、自然のぬくもりが手のひらから伝わってきます。出会った瞬間に心惹かれるこのマグカップは、美幌町に工房を構える「円舘工芸舎（えんだてこうげいしゃ）」が手がける人気の工芸品です。木材を回転させる「木工ろくろ」という道具を使いこなして一つひとつ丁寧に仕上げているので、同じものはない唯一無二の逸品。コーヒーがよりまろやかに、味わい深く香ることでしょう。そんな時間をゆっくり愉しみたい方はもちろん、大切な方への贈り物にもおすすめです。

円舘工芸舎では道産木材にこだわり、マグカップに使っているのも槐（えんじゅ）という北国ならではの木材です。もともと床柱などに珍重される銘木で、キズがつきにくく、匂いも少ないので器に最適。成長が遅いため年輪が密になり、独特の表情を映し出しています。ただ、とても硬い。特に、木工ろくろでは削っているときに中が見えないため、長年磨き続けてきた感覚と卓越したテクニックが求められます。円舘工芸舎は、この伝統技術を家族で守り続けています。

オホーツク海から30kmほど内陸に広がる美幌町は、自然豊かなまち。独自の厳しい基準を定めて、まちの面積の6割を占める森林資源を大切に育んでいます。そんな美幌町の大らかな空気感とともに、マグカップに注いだコーヒーをご堪能ください。長くお使いいただくほどに、愛着という香りもとけ合っていくでしょう。