ふるさと納税の返礼品として人気の高い「オホーツク焼」の陶器。つややかな藍色と白のコントラストは、砕け散る波のようでもあり、森の朝もやのようでもあり、手にした人のイメージを自由に膨らませます。この徳利でゆったり晩酌を楽しむと、オホーツクエリアの大自然が語りかけてくるような酔い心地にいざなわれそうです。

創作しているのは、美幌町の田園風景の中に工房を構える「美幌窯」です。オホーツク焼の繊細な色彩は、釉薬（ゆうやく）をかけあう「青釉白流し」という独特の手法によって表現されています。複数の釉薬を使うと厚くなってしまうなど作品にならないこともありますが、美幌窯では45年以上積み重ねてきた職人技によって高度な作陶に取り組んでいます。土を練り、ろくろを回し、釉薬をかけ、たくさんの工程を経て窯出しするまで、どういう仕上がりになるかは職人にもわかりません。だからこそ、一つひとつの模様が異なる、世界に一つだけの器が生まれるのです。

オホーツク海の沿岸から30kmほど内陸にある美幌町。町民の自宅や店舗ではオホーツク焼がたくさん使われています。それだけ日常使いしやすく、永く親しまれている器で、道外からわざわざ工房を訪れるファンもいます。知るほどに愛着が深まり、魅了されるオホーツク焼の徳利で、さて今宵はどんな時間に浸りましょうか。