ふるさと納税の支援により学習環境が充実し、
生徒の活動の幅が広がっています。
北海道美幌⾼等学校
町内を一望できる小高い丘に、約50haもの敷地が広がる北海道美幌高等学校。白樺並木のゆるやかな坂道を生徒たちは四季折々の自然の変化を感じながら登校しています。普通科と農業科の2学科があり、キャンパスにはグラウンドや野球場の他に牛・豚・鶏の畜舎、野菜などの圃場、食品加工実習室など実践的な学びの場が整備されています。全国的にも希少な環境の中、生徒たちはどのように学び、ふるさと納税が教育活動にどう活かされているのかをお伝えします。
生徒一人ひとりの進路実現に向けて
ICT 化も進めながらきめ細やかに指導
普通科では、「自分を知る」、「地域を知る」、「未来を知る」ことを目標に授業を通じて進学や就職、資格取得などの進路実現の考え方や手法を学んでいく科目「未来探究」も導入され、ふるさとに貢献できる人材育成を目指したカリキュラムを展開。
また、農業科は農業を基幹産業とする町ならではの特色を反映。生産環境科学科、地域資源応用科、未来農業科の3クラスで、資源循環型農業や地域資源を活かした商品開発、流通などを学び、実践しながら、地元での食育活動にも参加して子どもたちに食の大切さ、作る大切さを積極的に伝えています。
さらに、美幌高校では国が推し進めるGIGAスクール構想をきっかけに、ICT環境の改善に力を入れています。町から全生徒へタブレット端末が貸与され、授業のICT化が進化。各教科でタブレットを活用し、生徒も教員も楽しみながら主体的に授業に参加しています。また、今後は自宅でのオンライン学習をさらに充実させることで、一人ひとりの生徒に合わせた多様な学習環境の構築を目指しています。
地元食材を活かす商品開発に取り組み
かけがえのない経験で達成感を味わう
農業科の生徒たちは美幌町で栽培された野菜などを活用して商品開発に取り組み、美幌町の魅力を多くの方に知っていただけるよう活動しています。
これまで地元の方々の協力も得ながらさまざまな商品開発に関わってきましたが、2020年から挑んだアイスクリームづくりには、地域資源応用科の生徒たちが長期間の試行錯誤を重ねました。
2年生の山岸心里(やまぎし しんり)さんは、こう振り返ります。
「美幌町特産のアスパラガスの端材をどうにか活用できないかと農家さんから相談されたのが開発のきっかけです。最初のうちはどうしてもシャーベット状になってしまいましたが、野菜をフリーズドライしてパウダーにするなど工夫を凝らし本来のアイスクリームに仕上げられました。地元産のトマト、にんじん、そして校内で育てたカボチャや生徒たちが搾った『美高牛乳』も使い、4種類のアイスクリームが完成!町内の店舗に並んでいるのを見たときはとてもうれしく、頑張ったという達成感を体験できました!」
地域資源応用科を指導している蒔苗弘樹先生は「生徒たちといつも美幌町をどうPRできるかを考え、研究を重ねています。常に生徒たちと同じ目線に立ち、一人ひとりの個性にあった指導を何よりも心がけています」と、美幌町ならではの商品づくりへの想いを語っています。パッケージにも生徒たちのアイデアを詰め込んだ4種類のアイスクリームは、現在ふるさと納税の返礼品にも採用され、全国から「優しい味でおいしい!」の声が届いています。
キャンパスにあふれる
地域の未来をみつめるまなざし
美幌高校では、都道府県の枠を越えて高校生活を送る「地域みらい留学」を活用して入学する生徒などのために、高校の近くに寮を完備し、美幌町でしか体験できない貴重な日々を教員がしっかりサポート。道外への帰省の際には航空機運賃を補助しています。
全生徒へのタブレット貸与・授業のICT化など学習環境の整備、地域の食材を活かす商品開発や農業実習への支援、寮生活や部活のサポートなどにふるさと納税の一部が使われ、生徒たちの活動の幅が広がっています。
「おかげさまで、生徒たちにとってより充実した学びになっていることに心より感謝いたします。今後も皆さまの気持ちに応え、美幌町とともに地域に笑顔を届けられるよう努力してまいります」(美幌高校)
生徒一人ひとりに寄り添い、個性を尊重する先生たちに囲まれ、雄大な自然に負けないほど大らかに自分の目標に向かって頑張っている美幌高校生たち。地域の未来を見つめるキラキラとしたまなざしと明るい歓声が、今日もキャンパスにあふれています。