良い作物は、良い土づくりから。
強い信念と地道な作業で、おいしい野菜を栽培。

有機野菜生産者

株式会社 一戸農場

代表は一戸允仁。化学肥料や農薬を使う慣行栽培を行っていたが、土の栄養分がなくなったのをきっかけに、1999年頃から「島本微生物農法」に挑戦。米ぬかなど自然由来のものを使用した土づくりによる有機栽培を始めた。2007年に有機JAS認証を取得。おいしく、安全な野菜づくりに励んでいる。

色鮮やかなにんじん、力強い香りのごぼうや馬鈴薯……自然由来の生産方法で育つ野菜たちには、本来の味わいと栄養分がたっぷり。そう話してくれる一戸さんは、土づくりを何よりも大切に、経営面積すべてで有機栽培を進めています。苦労も多いという栽培方法をあえて選んだ想いや、おいしい野菜づくりへのこだわりをお聞きしました。

除草剤も使わず
草むしりの毎日

有機野菜とは、農林水産省が定める有機JAS規格の条件を満たした野菜のこと。基準をクリアした野菜だけが有機JASマークを表示できます。無農薬野菜と混同されがちですが、国が定める規格があるのは有機野菜だけ。無農薬という解釈はさまざまで誤解も生じやすいため、最近では「特別栽培」という表示が定められるようになりました。
「有機野菜でも、実際はJASが認定している農薬もあります。でも、うちでは化学肥料を一切使わず、自然由来の生産方法を採用しています」と、一戸さん。「除草剤も使わないので、草むしりの毎日ですよ」

全力の土づくりで
有機JAS認定を取得

有機栽培に切り替えたきっかけは、それまでの慣行栽培で、どんどん土の栄養分がなくなったと感じたからです。
「畑が痩せてしまい、地力(ちりょく)を上げる必要がありました。そんなときに、酵素で土をつくる『島本微生物農法』を知りました」
そして、米ぬかや山土、リン酸など自然由来のものだけを使った土づくりを始めたそうです。
「このとき、中途半端ではなく、全部全力でやると決めたんです」
試行錯誤の末、約8年後に農水省の有機JAS認定を取得するまでになりました。

味が濃厚で香りが強く
栄養価が高い野菜たち

有機栽培の土壌には、多くの栄養分が入っているため、野菜たちは栄養価が高くバランスが良いとのことです。
「ミネラル豊富な土壌で育つので味が濃厚。にんじんらしい、ごぼうらしい本来の味わいと強い香りが際だっています」
「栄養価コンテスト」(一般社団法人日本有機農業普及協会)の審査に応募したり、毎年「島本微生物工業」に土の診断を依頼したり、データ解析による品質の向上に積極的に取り組んでいます。
「にんじんは、皮のままジューサーにかけると栄養たっぷりのおいしい生ジュースができあがります。買っていただいた方の健康づくりに少しでもお役に立てたら、うれしいですね。にんじんの葉も、ほろ苦くて春菊やセリのような味わい。有機栽培だからこそのお料理をいろいろ楽しんでいただけます」

おいしいと言われて
泣いてしまうほど感動

有機野菜は、安全性に注目されがちですが、一戸さんは「野菜は、野菜。一般的には、ちょっと高級で敷居が高いというイメージがあるかもしれませんが、まずは純粋に“おいしい野菜”として手に取って欲しいです」と、力をこめて語ってくれました。
天候や湿度の影響を受けやすく、日々の観察がとても重要。病気が出ても化学由来の薬を使えないので、予防が第一です。
「正直、決してラクではありませんが、食べた方から“おいしかった!”と言っていただくと、すべての苦労は吹き飛びます。うれしいメッセージをいただいて、感動のあまり泣いてしまうこともあります」と、一戸さん。「それに、美幌町は比較的天候の災害が少なく、安定しています。特にここは高台なので水害は受けません。本当にありがたい環境です」

こだわりの野菜づくりに
ゴールはない

どんなに気を遣って育てても、最後まで気が抜けないという有機野菜。一戸さんは「自信を持って出荷していますが、おいしいと言ってもらえるかなと不安になるときもあります」と、どこまでやってもこれでいいとは言えない、難しい栽培方法なのだとわかります。「でも、もちろんこれからも続けていきますよ。オホーツクの小さな町で、おいしく、安心して食べられる野菜があるらしいよ、とより多くの方に知っていただけたら幸せです」
良い作物は、良い土づくりから。その信念を胸に、一戸農場のこだわりの野菜づくりは今日も朝早くから続いています。

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